2009年06月26日

第11回全体MTG時の設計要求について

設計要求(性能要求)

(1)質量要求

   衛星の総質量は、ロケットの搭載能力で制限されるので、前回説明した相乗り衛星の打ち上げ要項に載っている制限にのっとる。ミッション機器や搭載燃料にできるだけ多く積むために、構体系を軽くする。一般的に衛星ドライ質量(燃料抜きの質量)に対する構体の比率は10〜20%。その他もろもろの考慮して設定。

(2)打ち上げ時剛性要求

    ロケットの振動と衛星の振動モードが動的に連成(カップリング)すると、衛星にかかる振動荷重が増加する。(共振みたいな感じだと思われます)これは一般にロケットと衛星の基本振動数(一次の固有振動数)(←まだよくわかりません)を分離し、衛星の基本振動数を高いほうへ分離する。これを根拠に、打上げ時コンフィギュレーションで衛星基本振動数が何Hz以上という規定がなされ、これに対して、構体の剛性設計を行う。機軸方向と横軸方向に対して考える必要がある。

(3)軌道上での剛性要求

    太陽電池やアンテナが軌道にのって展開し、大型化するとともに高精度化している。大型化すれば構造の剛性値はさがり、高精度化のために制御系のバンド幅(接続部だと思われます)が広くなり、そのバンドの中に構造の振動モードが入ってカップリングする可能性が増える。カップリングを避けるために姿勢制御系から軌道上の衛星構造特性(フレキシブルパラメータ)(まだこれが何かはわかっていません)に対して厳しい要求が出される。これは複数の振動モードに対する公差(計量器における、規定の値と実物の値との差)の厳しい要求であり、地上でその特性を正確に検証し、軌道に上げた後も特性を同定していく必要あり。
ここからは中鉢のUPした資料です。
(4)1.制限荷重(Limit Load)

 制限荷重とは、地上の取り扱い、試験を含む全運用期間にわたり衛星に発生する最大予測荷重をいう。打上げ時の制限荷重は、ロケットの最大飛行予測荷重から設定され、衛星プロジェクトによって3σ上限値、2σ上限値または2σ上限値×1.5と異なる値が使用されている。ここで3σ上限値とは、平均荷重と確率的変動荷重3σ(σは標準偏差)の和を、2σ上限値の最大飛行予測荷重に設定係数1.5をかけた値を、それぞれ最大予測荷重にとることを意味する。
2. 設計荷重(Design Load)

 (a) 終極荷重(Ultimate Load)

  終極荷重は、構造が破損しない最大設計荷重をいい、次式で定義される。

終極(設計)荷重 = 制限荷重 × 終極荷重 (安全) 係数

 (b) 降伏荷重(Yield Load)

  降伏荷重は、構造が永久変形しない最大荷重をいい、次式で定義される。

       降伏(設定)荷重 = 制限荷重 × 降伏荷重 (安全) 係数

 (c) 設計係数の適用事例

  制限荷重や荷重係数の数値は衛星プロジェクトにより異なり、過去の衛星での事例を下の表に示す。
















 (d) 地上での取り扱い時の設計係数

  構体系は地上の設備、治工具と直接インターフェイスする。地上での取り扱いでは、打上げ時や軌道上に比べ、荷重の変動要因が大きく、さらには人員の安全のため、とくに荷重 (安全) 係数は高めに設定する。

3. 安全要求(Margin of Safety : MS)

 講体系は、それぞれつぎの強度・剛性基準を満足するように設計しなくてはならない。
1) 降伏荷重に対しては、有害な変形を生じないこと。

2) 終極荷重に対しては、機能的劣化、破損および破壊を生じないこと。
上の基準を満足させるために、次式で定義される安全余裕 (MS) が負にならないように設計することが必要である。




降伏MS =



      終極 MS =


4. 材料の物理的、機械的性質

 構造材料の物理的、機械的性質では、MIL-HDBK-5,-17,-23 などの権威ある文書に従うことが基本であるが、それに記載されていない材料を用いる場合には、ASTM E8-69,E970 およびAFML-TR66-86 に規定された試験方法に準じて確認した値を用いることが必要である。

 なお、上記の文書の各材料の機械的性質には、A値、B値、S値が規定されている。これは以下の様な使い分けをする。
 1) A値

  主構造に用いる場合で、単一荷重パスを構成する構造部材で、破壊、破損したら構造全体の健全性が損なわれる場合に適用。

 2) B値,S値

  冗長構成を有する構造部材で、破壊、破損しても構造全体の健全性が損なわれない場合に適用。


注) A値 : 母集団の99% の値が95% の信頼水準で規格に入る値

B値 : 母集団の90% の値が95% の信頼水準で規格に入る値

S値 : 規格、仕様書で定まられた最低試験値
(5) 搭載機器の保持とインターフェイス機械的環境条件設定

 衛星の全ミッション期間を通して、搭載機器に加わる荷重を明らかにし、搭載機器を構体に確実に保持するとともに、搭載機器に対する設計荷重条件を設定する。とくにロケット打上げ時の振動、音響、およびロケット/衛星の分離衝撃、展開構造物の展開時の衝撃により搭載機器に加わる荷重の低減を図る。
(6) 搭載機器のアライメントと寸法安定性

 搭載機器の中でセンサ、アンテナ、観測機器などは、高い指向精度が必要で、軌道上でその変動を小さくすることが要求される。これをアライメントの要求という。アライメントには、搭載機器の設定誤差 (取付け面で評価) 、軌道上で重力から解放されることによる変動 (ゼロG変形)、温度変化による熱ひずみ、ガタがある場合の打上げ環境によるズレ (ヒステリシス) などが影響する。配分されたアライメント誤差要求値 (通常百分の1度のオーダー) を満足するように、構体の構造や熱膨張率の小さい材料の使用を検討する。




参考HP

http://www.aero.osakafu-u.ac.jp/as/senda/senda_hp/ensyu4/01.pdf

01.pdfから16.pdfまで資料あり

urlをいじれば出てくる。
現在、京都大学 大学院 工学研究科 航空宇宙工学専攻 にいらっしゃる泉田先生が大阪府立にいた頃に作った資料だと思われる。


(7)伝導性

  ・衛星内部に絶縁された部分が存在すると、軌道上において局所的に帯電し、帯電量が許容値を超すと放電が起こり、搭載電気機器に損傷を与えるおそれがある。これを防ぐためには、導電性のよい構造材料を使用し、軽量化などの要求で使用できないときは、電気機器が搭載される各パネルにボンディング点を設けて、導電性を確保する。

(8)熱伝導性/断熱性

  ・搭載機器の発熱は、機器を搭載している各パネルへ熱伝導により逃がすから、パネルの材料は熱伝導性の良いものを選定する。特に高発熱機器に対しては、パネルの内部にヒートパイプを埋め込み、放熱面までの熱輸送量を大きくする。また、独立の温度制御が必要な搭載機器は、緊締具や境界部分に断熱材料を使用し、周囲からの熱伝導を遮断する。

(9)地上での取扱のために要求される機能

  ・衛星の組み立て、試験、輸送など地上の取扱作業を容易にするように、機体の形状、組立、分解方法、アクセス性、試験組立治具を検討しておく必要がある。

ヒートパイプ(Heat pipe)とは、熱伝導性を上げる技術・仕組みの一つ。単に伝熱効率を上げるだけでなく、一方の温度が高い場合にのみ熱伝導性を発揮する熱ダイオードとしての使用法もある。

NASAにより人工衛星中の放熱に利用されたのが実用化の始まりである。熱伝導性が高い材質からなるパイプ中に揮発性の液体(作動液)を封入したもの。パイプ中の一方を加熱し、もう一方を冷却することで、作動液の蒸発(潜熱の吸収)→作動液の凝縮(潜熱の放出)のサイクルが発生し熱を移動する。冷却部を加熱部より高い位置に設定することにより、凝縮後の作動液を加熱部に戻すことができるが、パイプ内部を毛細管構造にすることにより、高低差がない場合でも利用が可能になる。(wikiより)
posted by 構造・環境班 at 03:35| ☁| Comment(0) | ログ資料 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月20日

軌道について6/18に発表したURLたち

PLANET−Cとの相乗り候補募集について
http://aerospacebiz.jaxa.jp/topics/2008/080423_PLANET_C_rf.pdf
必読です!!簡単に書いてあるので、読みやすいです。

GOSAT「いぶき」のNEWS。相乗り衛星の事についても載ってます。
http://aerospacebiz.jaxa.jp/kogataeisei/WhatsNew.html

小型副衛星の打ち上げ機会提供に係る搭載候補の募集案内
http://aerospacebiz.jaxa.jp/topics/2008/080424_kogata_rf.pdf
今日言ってた募集要項みたいなやつです。詳しく載ってます。

H−UAロケットに相乗りする小型副衛星の通年公募について
http://www.jaxa.jp/press/2008/04/20080423_sac_sat_j.pdf
ビジュアル的で非常にわかりやすいです。

「H−UAロケット15号機(GOSAT)の打ち上げ成功」について
http://www.sjac.or.jp/common/pdf/kaihou/200902/20090203.pdf
詳しい軌道に関しての事は書いてませんが、いろいろ他の事が書いてあるので、是非。

四国新聞社のプラネットCに関するNEWSです。
http://news.shikoku-np.co.jp/national/science_environmental/200804/20080423000420.htm

マニアックな人の、東大衛星(PRISM)を受信するためのアンテナ製作と軌道のフリーソフトです。結構面白いですよww
http://kenshi.air-nifty.com/ks_memorandom/2009/02/500prism-d9bc.html

JAXAのこれからの打ち上げ予定です。
http://www.jaxa.jp/projects/in_progress_j.html
posted by 構造・環境班 at 02:42| 🌁| Comment(0) | ログ資料 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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